「不妊なんだ?良かった、俺は子供いらないと思ってたから」
病院からの帰り道、車の中で夫が言った。私は言葉を失った。
私は33歳。結婚して5年、子供ができなくて不妊治療を始めたばかり。今日、検査結果を聞きに行った。医師から「卵巣機能不全で、自然妊娠は難しい」と告げられた。
私は泣きながら夫に報告した。「赤ちゃん、できにくいって…」
そしたら夫は、安堵したような顔でこう言ったのだ。
「良かった」って。
「え…?」
「だってさ、子供できたら金かかるし、自由なくなるじゃん。俺、正直子供とか面倒だと思ってたんだよね」
私の涙が止まった。怒りで震えた。
「じゃあ、なんで今まで不妊治療に付き合ったの?」
「お前が病院行きたいって言うから、仕方なく。でも内心ホッとしてたんだよね。できなくて」
私は夫の横顔を見た。笑っていた。
「これで治療もやめられるし、お前も諦めつくだろ?良かったじゃん」
その瞬間、私の中で何かが壊れた。
家に帰ってから、私は1人で泣いた。夫は「また泣いてるのかよ」と呆れた顔でゲームを始めた。
私が子供を望んでいたのを知っていて、それでも「良かった」と言った夫。
私は、自分が何のために結婚したのかわからなくなった。
数日後、私は両親に相談した。
「離婚したい」
母は激怒した。「そんな酷いことを言う男と一緒にいる必要はない」
父も「お前を大切にしない男は、男じゃない」と言ってくれた。
でも私には、まだ確かめたいことがあった。
夫は本当に、子供がいらないのか。それとも、私との子供がいらないのか。
ある日、私は夫に聞いた。
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