【全編】「誰の稼ぎで生活できてると思ってる?」

スポンサーリンク
スカッと春香
スポンサーリンク

「どうしたの?」

康介は私を見て、何も言えない様子だった。

「康介?」

「お前…」

「何?」

「お前が…あのアカウント…?」

私は悟った。

「今日の打ち合わせ、行ったの?」

「行った…」

康介は椅子に座り込んだ。

「会議室に入ったら…お前がいた」

「そう」

「なんで?なんでお前があそこにいたんだ?」

「だって、私がそのインフルエンサーだから」

康介は頭を抱えた。

「嘘だろ…フォロワー100万人って…」

「本当よ。Instagram 50万、YouTube 30万、TikTok 20万」

「なんで教えてくれなかったんだ?」

「あなたに『趣味でSNSやってる』って言ったら、『痛い』『恥ずかしい』って言われたから」

康介は黙った。

「あなたが知ってるのは、私の顔出ししてないサブアカウント。メインアカウントは教えてなかった」

「年収は…」

「広告収入とか案件料で、年間5000万くらい」

康介は絶句した。

「5000万…?俺の7倍…?」

「そう。誰の稼ぎで生活してるかって?私の稼ぎよ」

康介は何も言えなかった。

「あなたは私を『スマホばっかり触ってる』『時間の無駄』って言ってた」

「それは…」

「あれ、全部仕事だったの。投稿の準備、動画編集、企業とのやり取り」

私は続けた。

「今日の案件、私から断らせてもらったわ」

「え?」

「担当者があなただって知って。一緒に仕事できないもの」

康介は顔面蒼白になった。

「待って、それはマズい。会社で俺が担当なんだ」

「だったら、担当変えてもらって」

「でも、もう話進んでて…」

「私、あなたの会社とは仕事しません」

翌日、康介の上司から私に連絡があった。

「担当を変更いたしますので、ぜひご検討を」

「すみません、今回は見送らせていただきます」

「え、でも…」

「個人的な理由です」

私は電話を切った。

康介が帰宅して、怒鳴った。

「なんで断ったんだよ!」

「あなたと仕事したくないから」

「俺が悪かった。謝るから」

「謝罪じゃ済まないの」

私は続けた。

「離婚しようと思ってる」

「え?」

「あなたは私のこと、『養ってる』と思ってた。見下してた」

「違う、俺は—」

「違わないわよ。『誰の稼ぎで生活できてる』って言ったわよね」

康介は何も言えなかった。

「もし私が本当に稼いでなかったら、あなたはずっとそう言い続けてたはず」

数日後、私は本格的に離婚の準備を始めた。

弁護士に相談した。

「奥様の収入が圧倒的に多いですね。財産分与もご主人からの請求は難しいでしょう」

「わかりました」

「むしろ、ご主人の暴言は精神的苦痛に該当します。慰謝料請求も可能です」

私は康介に離婚届を渡した。

「待ってくれ。俺が悪かった」

「もう遅いわ」

「お前がそんなに稼いでるなんて知らなかったんだ」

「だから何?稼いでなかったら、見下してもいいの?」

康介は答えられなかった。

「あなたの本音、よくわかったわ」

翌週、私はSNSで離婚について発信した。

もちろん、康介の顔や名前は伏せた。

「専業主婦として生活していましたが、実はインフルエンサーとして活動していました。

夫に『誰の稼ぎで生活できてると思ってる』『スマホばっかり触って』と言われ続けました。

実は私の年収が夫の7倍でした。

今回、離婚することにしました」

この投稿は大きな反響を呼んだ。

フォロワーから数万件のコメントが届いた。

「応援してます!」

「その旦那、最低ですね」

「あなたの決断、正しいです」

康介の会社の人もこの投稿を見たらしい。

「もしかして、あれって…」

「康介さんの奥さん、あのインフルエンサーだったんだ…」

「彼女に逃げられたの、康介さんが原因?」

康介は社内で噂の的になった。

さらに、康介が担当していた案件も他の社員に回された。

「君、信頼失ったからね」

上司にそう言われたらしい。

康介から最後のメールが来た。

「お前がそんなに有名だなんて知らなかった。インスタの趣味アカウントだと思ってた。もっと大事にすればよかった」

その言葉を見て、私は確信した。

康介は私を愛していたんじゃない。

「専業主婦の嫁を養ってる俺」に酔っていただけ。

半年後、離婚が成立した。

私はさらに活動の幅を広げた。

YouTube登録者数は100万人を突破。

年収も7000万円に増えた。

そして、同じクリエイターの男性と出会った。

彼はYouTubeで50万人のチャンネルを持っている。

「君のコンテンツ、いつも見てたよ。尊敬してる」

彼はそう言ってくれた。

「お互いクリエイターとして、対等に付き合いたいな」

その言葉が嬉しかった。

1年後、私たちは結婚した。

彼は私の仕事を理解してくれる。

お互いの創作活動を尊重し合える関係。

康介は今でも同じ会社で働いているらしい。

友人から聞いた。

「元旦那、後悔してるみたい。お前があんなに有名だったなんてって」

「もう関係ないわ」

私は幸せだ。

私の価値を認めてくれる人と一緒にいられて。

因果応報。

人を見下した代償は、離婚と社内での信頼喪失、そして大口案件の損失。

フォロワーから教えてもらった。

「本当に大切なのは、肩書きじゃない。相手を尊重する心だ」

その言葉を、私は一生忘れない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました