親戚たちも同調する。
「そうだそうだ」 「跡取りがいないと困る」 「嫁失格だ」
夫は何も言わずに俯いている。
私は静かに立ち上がった。
「分かりました」
姑「当然よ!さっさと荷物をまとめて…」 私「では、出ていく前に一つだけ」
私はバッグから封筒を取り出した。
姑「何よそれ」 私「病院の診断書です」 姑「は?あんたの?どこが悪いの?子宮?卵巣?」 私「いえ」
私は封筒から診断書を取り出し、テーブルに置いた。
「不妊の原因、息子さんにあるんですけどね」
姑「…え?」 夫「…っ!」
親戚たちが診断書を覗き込む。
義叔母「これ…無精子症?」 義伯父「男性不妊じゃないか」
姑の顔が青ざめた。
姑「嘘よ!息子に限ってそんなこと!」 私「病院に確認してください。半年前の検査です」
姑は夫を見た。
姑「本当なの?」 夫「…母さん」 姑「答えなさい!」 夫「…本当だ」
親戚たちが一斉にざわついた。
義叔母「じゃあ、今までのは…」 義伯父「嫁を責めてたのか?」
姑「で、でも!あんたが悪いのよ!あんたがストレスを与えたから!」
私は冷静に答えた。
「先天性です」
姑「…え?」 私「生まれつきです。私と結婚する前からです」
姑が夫を睨んだ。
姑「なんで言わなかったの!?」 夫「…母さんに心配かけたくなくて」 姑「心配?私を心配?嫁を責めておいて!?」
私が口を開いた。
「夫さん、なぜ姑さんに本当のことを言わなかったんですか?」 夫「…」 私「私のせいにした方が楽だったから?」 夫「…ごめん」
姑が崩れ落ちそうになった。
姑「じゃ、じゃあ治療を…治療すれば…」 私「夫さんが拒否してます」 姑「え?」 私「『母さんにバレるから病院に行きたくない』って」
親戚たちの目が夫に集中する。
義叔母「最低…」 義伯父「自分の妻を犠牲にして…」
夫「違う!俺だって辛かったんだ!」 私「だから私を犠牲にした?」 夫「…」
姑が震える声で言った。
姑「待ちなさい…出ていくなんて言ってない…誤解よ…」
私はスマホを取り出した。
「誤解?」
姑「え?」 私「姑さん、覚えてますか?」
スマホの録音を再生する。
『役立たず』 『こんな嫁いらない』 『子供も産めないくせに』 『嫁失格』
姑の声が、スマホから流れ続ける。
姑「あ…あれは…」 私「3年間、毎日言われました」 姑「そ、それは…」 私「全部録音してます」
親戚たちが息を呑んだ。
私「弁護士に相談済みです」
夫「ちょ、ちょっと待って!」 私「離婚と慰謝料、楽しみにしててください」
姑「待ちなさい!」 私「『出ていけ』って言ったのは姑さんですよね?」 姑「あれは…」 私「では、お言葉に甘えて」
私は颯爽とリビングを出た。
後ろから姑の泣き声と、親戚たちの呆れた声が聞こえた。
義叔母「自業自得だわ…」 義伯父「息子も息子だ」
半年後。
離婚は無事成立した。
慰謝料500万円。 夫と姑、連帯で支払うことになった。
弁護士「録音データが決定打でしたね」 私「3年分、全部ありますから」
新しいアパートで、私は自由を満喫している。
ある日、元夫から連絡が来た。
『母さんが親戚から絶縁されて…助けて』
私は即座にブロックした。
自業自得。
これほどピッタリな言葉はない。
窓の外は、晴れ渡っていた。


コメント