「ねえ、これ旦那のアカウント?」
真美が送ってきたのは、健太のSNS。
「うん、そうだけど」
「やばいよこれ。おじさんすぎてウケるw」
「え?」
「見てよ、この自撮り。ドアップのキメ顔とか、完全におじさん構図じゃん」
真美は笑っていた。
「しかもこの投稿『俺イケてるw』とか痛すぎ」
私は健太のSNSを改めて見た。
確かに…痛い。
他の友人たちも見ているようで、グループLINEが盛り上がっていた。
「旦那のSNS、ヤバいw」
「この自撮り、おじさん感すごい」
「32歳でこれは…」
私は恥ずかしくなった。
その夜、私は健太に言った。
「ねえ、友達がこう言ってるんだけど」
スマホを見せた。
健太は顔を赤くした。
「は?俺、イケてるけど」
「でも、みんなおじさんって…」
「そんなわけない。俺、若く見えるって言われるし」
健太は認めない。
「それに、お義母さんより俺の方が若いだろ」
「お母さん、52歳だよ。あなた32歳なのに」
「だから?俺の方が若く見えるって」
私はため息をついた。
翌日、私は思い切って母に連絡した。
「お母さん、この前健太が『老けてる』って言ってごめん」
「いいのよ。気にしてないわ」
母は優しかった。
「でもね、健太の方が老けて見えるって友達に言われたの」
「あら」
「お母さん、実際若く見えるよ。52歳なのに40代前半に見える」
「ありがとう」
週末、私は健太を連れて街に出た。
「ねえ、実験しない?」
「何?」
「通行人に年齢聞いてもらおう」
「は?」
「お母さんを老けてるって言ったでしょ。本当にそうか確かめよう」
私は通行人に声をかけた。
「すみません、この人、何歳に見えますか?」
健太を指差す。
通行人は健太をじっと見た。
「え…40代後半?」
健太の顔が固まった。
「いや、32歳です」
「え!?若いんですね。でも、40代に見えます」
通行人は正直に答えた。
次の人にも聞いた。
「この人、何歳に見えますか?」
「45歳くらい?」
「いや、32歳です」
「え、そうなんですか?老けて見えますね」
健太は完全にショックを受けていた。
「次、お母さんの写真見せるね」
私は母の写真を見せた。
「この人は?」
「40代前半?」
「いえ、52歳です」
「え!?若い!綺麗な方ですね」
5人に聞いて、全員が同じ反応。
健太は黙り込んだ。
家に帰ってから、私は健太に言った。
「お母さんを老けてるって言ったけど、あなたの方が老けて見えるよ」
「…」
「32歳で40代に見えるって、相当だよ」
健太は鏡を見つめていた。
「しかも、あなたの自撮り、友達の間で『痛いおじさん』って笑われてる」
「え…」
「ドアップのキメ顔とか、完全におじさん構図なの。気づいてなかった?」
健太は何も言えなかった。
「自己評価高すぎだよ。自分の顔もちゃんと見えてないし」
「ごめん…」
「お母さんに謝って」
翌週、健太は母に電話で謝罪した。
それからというもの、健太は自撮りをSNSにアップしなくなった。
スキンケアを始め、運動も始めた。
「少しでも若く見られたい」
でも私の気持ちは冷めていた。
「あのね、健太」
「ん?」
「私、離婚したい」
「え?」
「お母さんを馬鹿にして、自分は老けてるのに気づかない。自己評価だけ高い。そんな人と一緒にいられない」
「待って、反省してるから」
「反省してるのは、自分が老けてるって気づいたからでしょ。お母さんを傷つけたことじゃない」
健太は黙った。
「自撮りも恥ずかしいし、もう無理」
「お願い、やり直させて」
「無理。あなたの痛い自撮り、友達みんな知ってるから。恥ずかしい」
数ヶ月後、離婚が成立した。
健太は最後まで「やり直したい」と言っていたが、私の気持ちは変わらなかった。
母に報告すると、母は「それで良かったのよ」と言ってくれた。
「人の見た目を笑う人は、自分が見えてないのよ」
母の言葉が心に響いた。
今、私は新しい人生をスタートさせている。
元夫のSNSは削除されていた。
友人から聞いた話では「恥ずかしくて消した」らしい。
因果応報。
人を笑った代償は、自分が笑われることだった。
そして、自己評価が高すぎた代償は、妻を失うことだった。
母は今も若々しく、元気に暮らしている。
私も母のように、内面から輝く人になりたい。
見た目だけじゃない、本当の美しさを大切に。


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