「西園寺さんと駅前でランチの予定なのよ。
お化粧と着替えに時間がかかってしまって待ち合わせに間に合わないのよ。それにせっかく美しく仕上げたのに、急いで汗をかくわけにいかないでしょ？西園寺さんに見合うエレガントな立ち振る舞いでご一緒しないとねw」
西園寺さんというのは、義母が仲良くしているというお金持ちの奥様のことです。
社長夫人だということで、このあたりでは有名な貴婦人であり何故だか義母の年齢層の人は
西園寺さんと仲良くなるために必死な人が多く、一緒に食事をできる機会があれば飛びついていく人がほとんどなのだと言います。
その理由はおそらく社長夫人と仲良くしているというステータスほしさや、何か金銭的な恵みがあるのではという打算なのだろうと思いますが
そんな下心丸出しの人たちを見て、遠巻きから避難している人も多いのです。
義母も何か恩恵を受けようとしているうちの1人であり、私はそれに対して呆れている側の人間です。
「あの…自分の準備が遅かったことによって約束に遅れそうだから私を呼んだんですか？」
「ええそうよ。それの何が悪いっていうの？」
「私にも予定があるって言いましたよね。
汗をかきたくないならタクシーでも呼んだらよかったんじゃないですか？」
「は？私に無駄遣いをしろっていうの？
タクシーなんて乗ったら、西園寺さんにどう思われるか。あなたが送迎してくれた方が、使用人がいるみたいに見せられるし、少しは近い階級なんだってアピールできるでしょ？
お金もかからないし一石二鳥じゃないw」
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