私「どうぞ…きっとこれのことですよね、まだ1つとってあったんです。」
義父「おお!これだこれ、まだ残ってたんだな。俺はこの素朴な感じが好きなんだよ。喉越しもいいし。甘さもちょうどいい。」
私「この前も美味しそうに召し上がってましたもんね。」
義父「君は良く見ているね、これのことだとすぐに気づいてくれた。」
義母「あなたそんなの今まで全然食べなかったじゃない。この子のために話を合わせてるのね?私に否定されたからってお父さんを味方につけるなんてやり方が汚いんじゃないかしら?」
私「そんなつもりはありません!ただ覚えていただけです…。」
義父「お前はいつも自分が好きでないものは他人も好きでないと思って遠ざけるだろう。だから知る機会がなかっただけだ。俺は昔からこういうゼリーが好きだったよ。大人になってからはわざわざ自分で買うほどではなかったし、俺が好きではないと決めつけてもらってもすぐに誰かにあげてしまっていただろう。やっぱり昔からの好みはそうそう変わらないし少し食べたいと思っていたよ。」
自分が選んだケーキを食べてもらえず内容まで否定されて
挙句の果てには自分が却下したゼリーを選ばれてしまった義母は、あからさまに表情を変え
ムッとした様子で一心不乱にケーキを貪っていた。
好みではなかったにせよ、誕生日に喜んでほしい思いでケーキを選んだことに変わりはなかっただろう。
この時ばかりは少し同情もしたが、それと同時にかなりスッキリした。
義父は嬉しそうにゼリーを平らげ、その勢いで義母の選んだケーキも食べていた。
それを見て義母は少し安心した様子で笑っていたので結果的には丸く収まったようだ。
私の良く気がつくこの癖がまた役に立った瞬間だ。
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