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【全編】「今日も家にいるだけで楽でいいよな」 夫が出勤前に言った | ページ 2 | 「大嫌い!」うざい義母にスカッと倍返し!【先読み公式ブログ】

【全編】「今日も家にいるだけで楽でいいよな」 夫が出勤前に言った

人間ドラマ

それから1ヶ月後。 夫の会社が完全在宅勤務制度を導入した。

「来月から週3で在宅勤務になった」 「そうなんだ。じゃあ家にいる日は助かるわ」 「いや、仕事だから。邪魔しないでくれよ」

そして、私に転機が訪れた。 昔の職場から、週3のパート勤務のオファーが来たのだ。

「パートに出たいんだけど」 「え?専業主婦でいいじゃん」 「でも、社会復帰したくて…あなた在宅の日なら、娘を見てもらえるし」 「仕事しながら子供の面倒なんて無理だよ」 「大丈夫。子供と遊ぶだけなんだから、羨ましいでしょ?」

夫は言葉に詰まった。

「仕事に集中できないんじゃ…」 「私だって家事に集中したかったわ。でも『遊ぶだけ』なんでしょ?簡単よね」 「それは…」 「家にいるだけで楽なんでしょ?昼寝もできるかもよ?」

夫は渋々了承した。

最初の在宅勤務の日。 私は朝8時に出勤した。

夫から最初のLINEが来たのは、9時半だった。 『娘がずっと「ママがいい」って泣いてる。仕事にならない』

私は返信した。 「遊んであげれば機嫌直るわよ。簡単でしょ?」

10時半、電話が鳴った。 「あのさ、娘が全然言うこと聞かなくて…おもちゃも散らかし放題だし」 「片付けながら相手すればいいじゃない」 「仕事しながらは無理だって!」 「私は毎日、家事しながらやってたわよ」 「それは…仕事じゃないだろ」

私は冷たく言った。 「そう。専業主婦は楽だもんね。じゃあ余裕でしょ。頑張って」

電話を切った。

12時、また連絡が来た。 『昼ご飯どうすればいい?娘が「お腹空いた」って』

「冷蔵庫に作り置きあるから、温めて食べさせて」

『俺の分は?』

「自分で用意して。私も外で働いてるんだから」

13時半、ビデオ通話がかかってきた。 画面には疲れ切った夫と、泣いている娘が映っていた。

「お昼寝してくれない!ずっと泣いてて、仕事が全然進まない!」 「抱っこして寝かしつければいいじゃない」 「抱っこしても泣き止まないんだよ!」 「そう。子育てって大変よね」 「お前、毎日これやってるの…?」 「そうよ。『遊ぶだけ』って言ってたけど」

夫は絶句した。

3回目の在宅勤務の日。

夕方、私が帰宅すると、リビングは散らかり放題だった。 おもちゃ、食器、洗濯物が床に散乱している。

夫はソファで娘を抱っこしたまま、目を閉じていた。

「ただいま」 夫がゆっくり目を開けた。 「お帰り…もう限界…」

「あら、家でゆっくりできてよかったわね」 「ゆっくりなんて…一瞬もできてない…」 「昼寝はできた?」 「できるわけないだろ!娘がずっと…」

私は笑顔で言った。 「でも、子供と遊ぶだけで羨ましいんでしょ?」

夫は力なく首を横に振った。 「ごめん…完全に舐めてた…」

「仕事も全然進まない。会議中も娘が乱入してくるし」 「そうね。私が家事してる時も、ずっとそんな感じよ」 「洗濯も、掃除も、料理も…娘の相手しながらなんて無理だ」 「でも私、毎日やってるわよ?」 「信じられない…お前、すごいよ…」

夫は娘を抱っこしたまま、項垂れた。

「専業主婦って…仕事より大変かもしれない」 夫が夕飯を食べながら呟いた。

「やっと分かった?」 「仕事はメリハリがあるけど、育児って24時間だろ…?」 「そうよ。休憩時間もないし、相手は理屈が通じない2歳児よ」 「しかも誰も評価してくれないし、給料も出ない」 「そうね」

夫は箸を置いた。 「『楽でいい』とか『遊ぶだけ』とか…最低なこと言ってた」 「今、分かってくれたならいいわ」

「お前、よく毎日やってるな」 「やるしかないでしょ。母親なんだから」

夫はハッとした顔をした。 「俺が言ってたやつだ…『専業主婦なんだから当然』って」 「そう。あなたはそう言ってたわね」 「最悪だな、俺…本当にごめん」

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