「え、その服しまむら?私デパートでしか買わないから分かんないけど、安っぽいよね」
またか。今日も佐藤先輩のマウントが始まった。
私の職場に、とにかくマウント取ってくる先輩がいる。名前は佐藤さん(仮名)。入社3年目で、私より1年先輩。
佐藤さんは容姿端麗で高学歴、親が医者というお嬢様育ち。それを鼻にかけて、後輩の私にことあるごとにマウントを取ってくる。
「まだ独身なの?私は彼氏が商社マンだから、来年結婚するけど」 「お昼コンビニ弁当?私はいつもオーガニックのお弁当持参してるの。添加物とか気にしないの?」
毎日毎日、こんな感じ。正直うんざりしてたけど、先輩だし波風立てたくなくて我慢してた。
ある日、会社の飲み会があった。佐藤さんは相変わらず自慢話ばかり。
「うちの彼ったら、この前誕生日に50万のネックレスくれたの。まあ、彼の年収なら当然だけど」 「私たち結婚したら六本木のタワマンに住むの。賃貸じゃなくて購入よ。ローン?そんなのないわ、一括よ」
周りの同僚たちは苦笑いしてた。でも佐藤さんは気づかない。
そして、私にターゲットが向いた。
「ねえ、あなたって彼氏いるの?まさか30手前で独身とか?」
実は私には付き合って5年になる彼氏がいる。ただ、職場では言ってなかった。プライベートを職場に持ち込みたくなかったから。
「いますけど」って答えたら、佐藤さんは目を輝かせた。
「へえ!どんな人?年収は?どこ勤め?まさかフリーターとかじゃないよね?」
「普通の会社員です」とだけ答えた。
佐藤さんは鼻で笑って「ふーん。まあ、人それぞれだもんね。私の彼氏みたいなハイスペックじゃなくても、幸せならいいんじゃない?」って。
カチンときたけど、ぐっと堪えた。
しかしこの後、佐藤先輩は因果応報を受ける事になる
【続き】
その後も佐藤さんのマウントは続いた。結婚式の準備の話、新居の話、ハネムーンはヨーロッパ周遊の話。もううんざりだった。
そして佐藤さんの結婚式の日。
招待されたから一応出席した。確かに豪華な式だった。でも、新郎の顔が妙に緊張してるように見えた。
それから3ヶ月後。
「あれ?佐藤さん今日も休み?」
佐藤さんが突然会社を休むようになった。最初は新婚生活を楽しんでるのかと思ってたら、実は違った。
噂で聞いた話だと、旦那さんの会社が実は経営難で、結婚式の費用も親からの借金だったらしい。しかも旦那さん、実は商社マンじゃなくて派遣社員だったって。佐藤さんは騙されてたのだ。
タワマンの話も嘘で、実際は郊外の古いアパートに住んでるらしい。
そして極めつけは、旦那さんに多額の借金が発覚したこと。佐藤さんの親が肩代わりすることになったけど、条件は「離婚すること」だったとか。
1ヶ月後、佐藤さんが職場に戻ってきた。でも、以前の輝きは完全に消えていた。
「あの…この前はごめんなさい。色々調子に乗ってて」って、小さい声で謝られた。
私は「大変でしたね」とだけ言った。
その後、佐藤さんは離婚して実家に戻った。以前のような自慢話は一切しなくなった。むしろ、周りに気を遣うようになって、人が変わったみたいだった。
そして私の番が来た。
私は彼氏と結婚することになった。実は彼、大手IT企業の役員で、年収は4桁万円超え。でも本人が目立つの嫌いだから、普段は地味な格好してるし、職業も「会社員」としか言わない人だった。
結婚式には会社の人も呼んだ。佐藤さんも来てくれた。
式場は都内の有名ホテル。新郎側の来賓には、誰もが知ってる企業の社長や役員がずらり。佐藤さんは目を丸くしてた。
披露宴で新郎の紹介があった時、司会者が「新郎は○○株式会社の取締役を務めておられます」って言った瞬間、会場がざわついた。
その企業、業界では超有名な大手だった。
佐藤さんは完全に固まってた。
二次会で、佐藤さんが私のところに来た。
「あの…旦那さん、すごい人だったんだね。全然知らなかった」
「ええ。でも彼、そういうの気にしない人だから。年収とか肩書きとか、そういうの関係なく付き合えるかどうかが大事だって言ってたんです」
佐藤さんは「そっか…」って寂しそうに笑った。
「私、間違ってたんだね。表面的なことばかり気にして、大事なものを見失ってた」
それから数ヶ月後、佐藤さんは転職した。
最後に「あなたから学んだよ。本当にありがとう」ってメッセージが来た。
人をマウントで見下してると、いつか自分に返ってくる。佐藤さんは痛い目に遭って、やっと気づけたんだと思う。
私?今は夫と幸せに暮らしてるよ。お金があっても自慢したりしない。だって、本当に大切なのは、そういうことじゃないから。



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