「お金あげるから息子と離婚してくれない？どうせあなたお金目的なんでしょ」
義母が突然そんなことを言い出したのは、夫が出張中の平日の昼間だった。
私は29歳の看護師。夫は32歳のサラリーマン。結婚して3年、子供はまだいない。
「え？何を言ってるんですか」
義母はバッグから封筒を取り出して、テーブルに置いた。
「これ、200万円。これで息子と離婚して。あなたみたいな女に息子を取られたくないの」
私は唖然とした。
「お義母さん、私は夫を愛してます。お金で離婚なんてしません」
「愛してる？嘘おっしゃい。どうせ息子の収入目当てでしょ。ほら、もっと欲しいの？」
義母の目は本気だった。私は怒りで震えた。
「お義母さん、帰ってください。そんな話、聞きたくありません」
義母は舌打ちして帰っていった。
夫に報告すると、夫は「母さん、また変なこと言ったのか。ごめん、気にしないで」って謝ってきた。でも私は気になった。なぜ義母は急にあんなことを言い出したのか。
それから1週間後、また義母が家に来た。
「考え直した？今なら500万円出すわ。これだけあれば新しい人生始められるでしょ」
500万円？
200万円から一気に500万円に跳ね上がった。これは何かおかしい。
「お義母さん、なぜそんなにお金を出してまで私を離婚させたいんですか」
「あなたみたいな女に息子の財産を渡したくないからよ」
財産？夫はサラリーマンで、特別裕福なわけじゃない。それなのに義母が500万円も出すなんて、何か裏があるはずだ。
義母を追い返した後、私は夫に聞いた。
すると、衝撃の事実が発覚した。
【続き】
「ねえ、最近何か相続とか、財産の話とかあった？」
「相続？ああ、そういえば父方の叔父さんが亡くなって、遺産が入るって話はあったけど。俺、叔父さんと仲良かったから、遺言で指名されたらしい」
「いくらくらい？」
「詳しくは聞いてないけど、叔父さん独身で子供いなかったから、数千万単位らしいよ」
数千万円。
義母の行動の意味がわかった。義母は夫が遺産を相続する前に、私を離婚させて、遺産を独り占めしようとしていたんだ。
私は探偵を雇って、義母の行動を調べることにした。
数週間後、探偵から報告があった。
義母は最近、高級マンションの内覧に行ったり、高級車のディーラーを回ったり、海外旅行のパンフレットを大量に集めたりしていた。全て、息子の遺産を前提にした行動だった。
さらに驚いたのは、義母が友人に「息子が大金を相続するから、嫁を追い出して私が管理するの」と話していたことだった。
完全に計画的だった。
私は証拠をまとめて、夫に全て見せた。
「見て。お義母さん、あなたの遺産を狙ってるよ。私を追い出して、お金を独り占めしようとしてる」
夫は探偵の報告書を読んで、顔が真っ青になった。
「母さん…こんなことを…」
「お義母さんが『あなたみたいな女に息子の財産を渡したくない』って言ってたけど、本当はお義母さん自身が財産を独占したかったんだよ」
夫は拳を握りしめた。
「母さんを呼ぶ」
翌日、夫が義母を呼び出した。私も同席した。
「母さん、妻に離婚してほしいって言ったんだって？お金まで出して」
義母は一瞬動揺したけど、すぐに開き直った。
「だってあの女、あんたの財産目当てじゃない。私が守ってあげないと」
夫は探偵の報告書を義母の前に置いた。
「これ、何？母さんが高級マンション見に行ったり、高級車探してたり。しかも友達に『息子の遺産を私が管理する』って話してたらしいけど」
義母の顔が真っ青になった。
「それは…その…」
「母さん、妻が金目当てじゃなくて、母さんが金目当てだったんじゃないか」
義母は言葉に詰まった。
「だって…あんたの遺産、嫁に取られたくなかったのよ…私があんたを育てたんだから、私が受け取る権利があるでしょ」
夫は呆れた顔をした。
「母さん、それ俺の遺産だよ。母さんのものじゃない。しかも妻を追い出してまで独り占めしようなんて…もう母さんとは関わりたくない」
「ちょっと待って！私は母親よ！」
「母親が息子の妻を金で追い出そうとするか？もういいよ。母さん、帰って」
義母は泣きながら帰っていった。
それから数ヶ月後、夫は無事に叔父からの遺産を相続した。金額は約5000万円。
義母から「少し分けて」と連絡があったけど、夫は完全に無視した。
私たちはその遺産の一部で新しい家を買い、残りは将来の子供のために貯金した。
義母は親戚中に「息子が冷たい」と言いふらしたけど、私たちが事情を説明すると、親戚は全員義母を非難した。
「あんたが悪い」「嫁を追い出そうなんて最低」
義母は孤立した。
自業自得だ。
嫁を金目当て呼ばわりして追い出そうとしたけど、本当に金目当てだったのは義母自身。
因果応報。
義母は息子の遺産も、息子との関係も、全て失った。
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