私の両親は欠席という形になった。
義母は親戚中に「嫁の親は都合が悪くて来られなかった」と説明していた。
でも、実際は義母が呼ぶなと言ったからだ。
式が始まり、披露宴の時間になった。
すると、会場の入り口に父と母が立っていた。
私は驚いた。
父が「娘の晴れ姿を見ないわけにはいかない」と笑った。
夫が「父さん、なんで呼んだんだよ」と不機嫌そうに言った。
義母の顔が真っ青になった。
父と母が席に着くと、義母の親戚がざわついた。
「あの方、○○社の社長じゃない?」
「え、○○社って、あの大手の?」
義母の親戚たちがひそひそ話している。
義父が父を見て、顔が引きつった。
「あ、あの…もしかして、○○社の?」
父が「はい。○○社の田中です」と名刺を渡した。
義父が震えた手で名刺を受け取った。
「た、田中社長…!?」
義父の会社は、父の会社の取引先だった。
義父は父に頭を下げた。
「いつもお世話になっております」
父は笑顔で「こちらこそ」と返した。
義母が義父に「どういうこと?」と小声で聞いた。
義父が「お前、嫁の父親が誰だか知らなかったのか!?うちの会社の一番大事な取引先の社長だぞ!」と慌てて説明した。
義母の顔から血の気が引いた。
披露宴が進む中、義母の親戚たちは父に挨拶しに来た。
「社長、お嬢様とうちの親戚が結婚するなんて光栄です」
義母は隅で青ざめていた。
披露宴が終わった後、義母が私に謝ってきた。
「ごめんなさい。お父様がそんな立派な方だとは知らなくて」
「立派だから謝るんですか?会社員だったら謝らないんですか?」
義母は何も言えなかった。
それから数日後。
義父の会社と父の会社の定例会議があったらしい。
義父が家に帰ってきて、義母を叱責した。
「お前のせいで取引がまずくなるところだったぞ!田中社長に妻が失礼なことをしたと謝罪してきた!」
「だって知らなかったんだもの」
「知らなかったで済む問題じゃない!」
それからというもの、義母の態度は一変した。
「お父様にはよろしくお伝えください」
急に丁寧になった。
でも、本心では面白くないのだろう。
夫も変わった。
「お前の父さん、社長だったんだな。もっと早く言えよ」
「あなたのお母さんが『格が合わない』って言ったから、黙ってたんです」
「でも、社長なら話は別だろ」
私は呆れた。
「結局、肩書きなんですね」
数週間後、義母が私の料理に文句をつけた。
「これ、全然美味しくないわ。お金持ちの娘だから、料理もできないのね」
夫も「確かに、母さんの料理の方が美味いかも」と同調した。
私は決意した。
翌日、私は父に全てを話した。
「そうか…お前が辛い思いをしていたのか」
父は静かに怒っていた。
「義父の会社との取引、どうする?」
「父さん、取引停止にして」
「わかった」
数日後、義父の会社に父から通知が届いた。
「今後の取引を見直したい」
義父が慌てて父の会社に駆け込んだらしい。
「田中社長、何か不手際がございましたでしょうか!?」
父は冷静に答えた。
「不手際というより、私の娘が貴社のご家族から不当な扱いを受けていると聞きました」
「それは…」
「結婚式に私たち夫婦を呼ぶなと言われたこと、『格が合わない』と言われたこと。そして今も、娘が義母と息子さんから見下されていること」
義父は何も言えなかった。
「私は娘を大切にしてくれる家族だと信じて結婚を許しました。しかし、現実は違った」
「申し訳ございません」
「取引は今月で終了させていただきます」
義父が帰宅すると、義母と夫を激しく叱責したらしい。
「お前たちのせいで、会社が潰れるぞ!」
義母と夫が慌てて私に謝罪の電話をしてきた。
「ごめんなさい!もう二度と嫌なことは言いません!お父様に取引を戻してくださいとお願いして!」
私は冷静に答えた。
「お義母さん、私の両親を結婚式に呼ばないと言いましたよね。あなたは人を格で判断しました」
「それは…ごめんなさい」
「そして、あなたもです」
夫に向かって言った。
「あなたは私の両親が『格が合わない』と言われた時、庇ってくれなかった。それどころか『仕方ない』と言った」
「ごめん、あれは…」
「もう遅いです。離婚します」
「ちょっと待て!父さんの会社が潰れたら、俺の人生も終わるんだぞ!」
「それはあなたたちの問題です」
私は電話を切った。
その後、弁護士を通じて離婚調停を進めた。
義母と夫が何度も謝罪してきたが、全て拒否した。
義父だけが「娘さんの判断は正しい。妻と息子が悪かった」と理解を示してくれた。
離婚は成立。慰謝料200万円を獲得。
そして、父の会社は義父の会社との取引を完全に停止した。
義父の会社は大口取引先を失い、経営が悪化。
夫はリストラされ、転職活動を余儀なくされた。
義母は親戚中から「あんたのせいで」と責められているらしい。
数ヶ月後、義母から手紙が届いた。
「あなたを格で判断した私が間違っていました。全て失って、やっと気づきました。ごめんなさい」
私は手紙を破って捨てた。
遅すぎる。
人を格で判断した代償は、自分たちが払うべきだ。
今、私は父の会社で働きながら、新しい人生を歩んでいる。
肩書きや格ではなく、人として尊重してくれる人と、いつか出会えると信じている。
因果応報。
人を見下した者は、自分が地に落ちる。
それが、義母と元夫への制裁だった。



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