「お母さん、お聞きしたいことがあって」
「何?」
「お母さん、夫の様子がおかしくなったんです。結婚してから突然「家事は全部やれ」と言い出してて。私も仕事をしているので、今までと同じように分担したいのですが、何か言われましたか?」
「あら、何がおかしいの?」
電話の向こうで、義母が少し沈黙した。
「あなたが全部やるのは当然よ。嫁なんだから。私の時代はそれが常識だった」
やっぱり。
義母はさらに続けた。
「息子もそう思っているはず。結婚したら妻が家庭を支えるものでしょ。仕事と家事の両立なんて、無理にしてでも頑張るべきよ」
「でも私の時代では…」
「あなたの時代とか関係ない。息子の家庭なのだから」
電話を切った後、私はすぐに夫に確認した。
「お母さんに電話した。やっぱり義母さんが言ったんだよね。だから「家事は全部やれ」と言い出したんでしょ」
夫は「…ごめん」と少し頭を下げた。
「母さんが…この間会った時に「息子の家庭だから嫁にやらせるべき」って言ってて。なんとなくそうかなって」
「あなたは自分で考えて決めたの?それとも、お母さんの言いなりに従っただけ?」
夫は黙った。
「私と結婚したのに、お母さんの言葉の方を優先にしたんだよね」
「でも母さんが…」
「お母さんとも結婚したわけじゃない。私と夫婦で決めるべき事だよね?」
夫は「確かに…」とゆっくりと頭を下げた。
「今までの自分の気持ちを改めて考え直してね」と私は言った。
夫は「考える」と言い、その夜は深く悩んでいた。
翌日、夫は私に「やっぱり今までのように分担しよう。お母さんの言うことをそのまま鵵にせず、自分で考えるべきだった」と正直に言った。
「でも、お母さんにもちゃんと伝えるべきだよ」と私は言った。
「じゃあ、一緒に義実家に行こう」
義実家に行き、義母に正直に事実を確認した。
義母は「何がおかしいの?当然のことを言っただけよ」と開き直った。
私はこう言った。
「お母さん、私たち夫婦の問題には口出しないでください」
義母は「は?余計なお世話にも」と言い返した。
「私たちの夫婦のことを、お母さんが決めるのは当然ではありません。夫も今まで以上に自分で考えるようにしました。今後、夫婦の間のことに入ってくるのは控えていただきたいです」
義母は「でも嫁なんだから…」と言い張るが、夫がこれを機に口を開いた。
「母さん、今後はお母さんの言うことではなく、俺と妻で決めるから。もう夫婦の間には入らないでね」
義母は「息子よ…」と口を開きかけるが、夫の表情を見て「そこまでなら…」と言葉を飲み込んだ。
義母は恥ずかしそうに視線を逃げ「わかった」と小さく言った。
帰宅後、夫は「母さんに言えたね」と笑った。
「本当に。でも今後もお母さんが何か言ってきたら、きちんと断ってね」と私は言った。
「わかった。今後はちゃんと自分で考える」と夫は約束した。
それから義母の干渉はなくなった。
義母は気になるようで、義実家に行くたびに「息子の嫁はちゃんと家事してるの?」と確認しようとするが、私はそのたびに「夫婦で決めてますので」と一言で遮る。
義母は「現代の夫婦はわからない」と言い残し、不満そうに帰っていく。
今は夫婦で家事を対等に分担している。夫は「今までお母さんの言うことを信じてた自分が間違ってた」と言い、率先して家事に協力してくれる。
「お母さんに言えるようになったね」と夫に言うと、「あなたのおかげだよ」と笑った。
義母は今でも「昔の常識」を信じているようだが、もう息子の夫婦には通じない。
時代は変わった。
夫婦の間のことは、夫婦で決めるものだ。


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