「姉さんから聞いたぞ。ひどいこと言ったって」
「ひどいことじゃないわ。本当のことを言っただけ」
「姉さんは、お前のためを思って…」
「違うわ」
私は、きっぱりと言った。
「お義姉さんは、自分の育児法を押し付けたいだけ」
「私の子育てを否定して、優越感に浸りたいだけよ」
「そんなこと…」
「あるのよ。あなたが見てないだけ」
健太が、黙った。
「私、もう限界なの」
「お義姉さんが謝らないなら、実家に帰るわ」
「ちょ、ちょっと待てよ」
「待たないわ。あなたも、私の味方をしてくれなかった」
私は、電話を切った。
数日後、義母から電話があった。
「優子さん、真由美が落ち込んでるの」
「そうですか」
「あなた、言い過ぎじゃない?」
「言い過ぎてません。私は、自分の子育てを守っただけです」
「でも、真由美は先輩なんだから…」
「先輩だからって、何でも正しいわけじゃないです」
私は、そう言って電話を切った。
それから1ヶ月、真由美は来なくなった。
私は、やっと自分のペースで子育てができるようになった。
娘は、すくすくと育っている。
ハイハイも、10ヶ月で始めた。
小児科の先生は、「順調ですね」と言ってくれた。
ある日、公園で真由美に会った。
真由美は、気まずそうに目を逸らした。
私は、声をかけた。
「お義姉さん」
「…何?」
「私は、お義姉さんを否定したいわけじゃないんです」
「ただ、私のやり方も尊重してほしかっただけです」
真由美が、俯いた。
「…ごめん」
「私、調子乗ってたわ」
「自分のやり方が正しいと思い込んで」
真由美が、初めて謝った。
「でも、あなたの子、元気そうね」
「ありがとうございます」
私たちは、少し笑い合った。
それから、真由美は干渉しなくなった。
たまに会っても、アドバイスではなく、雑談をするようになった。
私は、自分の子育てに自信を持てるようになった。
誰かの真似じゃない、私だけの子育て。
それが、一番大切なんだと気づいた。
【完】



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