私は、信じられなかった。
一生懸命作った料理を、犬に?
「ひどい…」
「ひどい?不味い飯作る方がひどいだろ」
健二が、鼻で笑った。
「お前、料理下手すぎなんだよ」
「毎日頑張って作ってるのに…」
「頑張ってこれ?才能ないんじゃない?」
健二が、スマホをいじりながら言った。
私は、涙が出そうになった。
でも、泣かなかった。
「もう、作らない」
「は?」
「あなたの食事、もう作りません」
私は、エプロンを外した。
「ちょっと待てよ。じゃあ俺、何食うんだよ」
「知りません。自分で作ってください」
私は、そう言い残して寝室に入った。
翌日から、私は一切料理を作らなくなった。
健二は、最初は「冗談だろ」と笑っていた。
でも、本当に作らないと分かると、不機嫌になった。
「おい、飯は?」
「ありません」
「ふざけんな!」
「ふざけてません。犬も食べない料理なんて、作る意味ないですから」
健二が、舌打ちをした。
「わかったよ。悪かったって」
「もう遅いです」
私は、冷たく言った。
それから、健二はコンビニ弁当とカップ麺の生活になった。
最初は「楽でいい」と言っていた。
でも、1週間もすると顔色が悪くなってきた。
2週間後、健二は胃が痛いと言い出した。
「なあ、やっぱり飯作ってくれよ」
「嫌です」
「頼むって」
「犬も食べない料理ですよ?」
健二が、黙り込んだ。
3週間後、私は実家の母に電話した。
「お母さん、もう限界…」
全てを話した。
健二の暴言。料理を犬にやったこと。毎日のモラハラ。
母は、静かに聞いていた。
そして、低い声で言った。
【続きは次のページで】


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