「お前の年収って…」
実は美香の小説がベストセラーになり、アニメ化も決定。月収が健一を大幅に上回っていることを知った健一の態度は一変する。
健一は手のひらを返したように復縁を迫ってきた。
「俺はお前が一番大事だって気づいたんだよ。由美の借金500万円を代わりに払ってくれれば、彼女と別れてお前と復縁する」
なんと借金まみれの由美と別れるために、美香に肩代わりさせようという身勝手極まりない提案だった。
「あなたみたいな最低な人の元へ私が戻るわけないでしょ」
美香がきっぱりと拒否すると、健一は「太だってまだ小さいんだから父親が必要だろ」と食い下がってきた。
「あなたみたいな人が父親だったら、大輔の教育上良くないと思うので、むしろいない方が助かります」
冷静な美香の返答に、健一は妹の水希まで呼び出して説得させようとしたが、水希は完全に美香の味方だった。
「浮気して美香さんを追い出したくせに、収入が高いって分かった瞬間に元カノの借金を払わせて復縁しようとするような非常識な人間に、常識を語ってほしくないんだけど」
そして美香は、切り札を出した。
封筒から数枚の写真を取り出してテーブルに広げる。そこには仲睦まじく寄り添って歩く健一と由美が映っていた。
「浮気はずっと前から疑ってたから、探偵事務所に依頼して証拠写真を撮ってもらってたの」
顔色が青ざめる二人に、美香は冷静に宣言した。
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