「あなたたちには慰謝料を請求させていただきますから。健一には大輔の養育費もしっかり払ってもらうわね」
さらに美香は別の写真を取り出した。
「由美さんの身辺も一緒に調べてもらってたの。随分いろんな男性とお付き合いしてるみたいだけど、そのお腹の子が健一の子供だって決めつけるのはちょっと早いんじゃない?DNA鑑定をすることをお勧めします」
美香の指摘は的中した。DNA鑑定の結果、子供は健一の実子ではないことが判明。由美は健一との関係が破綻し、子供を施設に預けて借金返済のため昼夜問わず働く生活に追い込まれた。
健一は妹からも見放され完全に孤立。さらに、酔った勢いで職場の同僚に浮気の事実を暴露してしまい、「妻を追い出して元カノと復縁しようとした最低な人間」として社内で噂され、上司から自主退職を勧められる始末。
無職となった健一は次の就職先が全く決まらず、アルバイト生活で貯金を切り崩すギリギリの生活を送ることになった。
一方、美香は小説家として成功を続け、作品の映画化も実現。息子の大輔は小学生になり、「ママの大ファンがクラスにいる」と嬉しそうに報告してくれる。
「あの人と別れることができて本当に良かった」
大輔の笑顔を間近で見られることや、この子の成長を感じることができる何気ない毎日に、美香は心からの幸せを感じていた。
配偶者の仕事を軽視し、浮気をして一方的に家庭を破綻させた男性が、相手の経済力を知って手のひらを返すものの、すでに準備万端だった妻に完全に論破される痛快な復讐劇。
真面目に働き続けた美香が幸せを掴み、自分勝手だった健一が孤立し困窮するという、まさに因果応報の結末となった。
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