健太の会社が、父の会社グループの取引先だったのだ。
父が取引停止を決定した。
健太から必死のメールが来た。
「お願いだ。お義父さんに取引を続けてくれるように言ってくれ。俺の会社、ヤバいんだ」
私は返信しなかった。
数日後、健太がリストラされたと聞いた。
健太から最後のメールが来た。
「お前の親が金持ちだって知ってたら、あんなこと言わなかった」
その言葉を見て、私は確信した。
健太は最初から私を愛していたんじゃない。
もし父が本当に貧乏だったら、きっと結婚後も馬鹿にし続けたんだろう。
父が身分を隠していたのは正解だった。
半年後、私は別の人と付き合い始めた。
今度は父の本当の仕事を最初から伝えた。
でも彼は「お父さんがどんな仕事でも関係ないよ。君が好きだから」と言ってくれた。
父も「今度の彼は本物だな」と認めてくれた。
健太は今でも時々SNSで私のアカウントを見ているらしい。
友人から聞いた。
「元カレ、後悔してるみたいだよ。お父さんが会長だって知って」
「もう関係ないよ」
私は幸せだ。
お金で人を判断しない人と一緒にいられて。
因果応報。
人を馬鹿にした代償は、婚約破棄と仕事を失うことだった。
父が教えてくれた。
「本当に大切なものは、お金じゃない。人の心だ」
その言葉を、私は一生忘れない。



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