夫が酔っ払って大声で言った。
「うちの嫁、中古だから安かったわ!ハハハ!」
友人たちは気まずそうな顔をして、誰も笑わなかった。
私は恥ずかしくて泣きそうだった。
帰りの車で、私は言った。
「もうやめて。本当に傷ついてる」
「何が?事実じゃん」
「事実でも言っていいことと悪いことがある」
「お前が俺以外の男と寝たのも事実だろ」
「それは結婚前の話でしょ!あなただって元カノいたじゃない!」
「だから男と女は違うんだって」
「どう違うの?」
「男は経験豊富な方がいい。女は純潔な方がいい。常識だろ」
「そんな常識ない」
「あるよ。お前が無知なだけ」
もう話にならなかった。
それから、夫の侮辱は友人の前でも平気で言うようになった。
夜、眠れなくなった。食欲もなくなった。
私は心療内科に行った。
医師に全てを話すと、「それは精神的DVです」と診断された。
「配偶者からの継続的な侮辱発言は、精神的虐待に該当します。このままでは鬱病になりますよ」
診断書には「適応障害。配偶者からの精神的DVが原因」と書かれていた。
私は決心した。
離婚しよう。
その日から、私は夫の暴言を全て録音することにした。
スマホの録音アプリを常にオンにして、夫の発言を記録。
「中古のくせに」「お前は汚れてる」「俺が初めてじゃないから価値がない」
2ヶ月で30件以上の暴言が録音できた。
私は弁護士に相談した。
弁護士は録音を聞いて、顔をしかめた。
「これは酷いですね。明確な精神的DVです。慰謝料請求できますよ」
「いくらくらいですか?」
「このレベルなら200万から300万は請求できます」
私は離婚調停を申し立てた。
夫は「は?何で離婚?」と驚いていた。
「あなたの暴言に耐えられません」
「暴言?俺、何も言ってないけど」
「言ってます。全部録音してあります」
夫の顔が青ざめた。
「録音?」
「はい。弁護士にも聞いてもらいました。これは精神的DVだって」
「ちょっと待てよ。冗談だったんだよ」
「冗談で人を中古品呼ばわりするんですか?友人の前で笑いものにするのが冗談ですか?」
「それは…悪かった。もう言わないから」
「遅いです」
離婚後、私は心療内科に通いながら、少しずつ回復していった。
友人たちが支えてくれた。
「あいつ、最低だったよね」「あなたは何も悪くない」
その言葉に救われた。
半年後、私は新しい職場で働き始めた。
そこで優しい男性に出会った。
彼は私の過去を聞いても、「それがどうしたの?」って笑ってくれた。
「過去は関係ない。今のあなたが好きだから」
その言葉に、私は泣いた。
これが普通なんだ。これが本当の愛情なんだ。
私たちは付き合い始めた。
彼は私を大切にしてくれる。侮辱することなんて一度もない。
「君は素敵だよ」「一緒にいると幸せ」
そんな言葉を毎日言ってくれる。
それから2年。
共通の知人から、元夫の近況を聞いた。
元夫は再婚したらしい。相手は初婚の女性。
「やっと新品ゲットできた」って喜んでたって。
でも半年で離婚されたらしい。
理由は、元夫が妻を「お前は新品だから価値がある」「処◯と結婚できた俺は勝ち組」って言いまくって、妻が気持ち悪がって逃げたって。
知人が「あいつ、全然反省してないよ」って呆れてた。
今、元夫は独身で、婚活してるらしいけど、全然上手くいってないって。
「処◯じゃないとダメ」って条件出してるから、誰も相手にしないって。
一方、私は彼と結婚した。
彼は私の過去なんて気にしない。今の私を愛してくれる。
毎日幸せで、元夫のことなんて忘れていた。
ある日、元夫からSNSにメッセージが来た。
「久しぶり。元気?俺、あの時は悪かった。やり直せないかな」
私は即座に返信した。
「やり直す気はありません。私を中古品呼ばわりした人とは二度と関わりたくないです」
「あれは冗談だったんだよ。本気じゃなかった」
「冗談で人を傷つけて、病気にさせた自覚ありますか?」
「それは…悪かった。でもお前、まだ独身だろ?俺と」
「既婚です。とても優しい夫と幸せに暮らしてます」
元夫からの返信が止まった。
数分後。
「嘘だろ…お前、俺のこと忘れたのかよ」
「はい。とっくに忘れました。あなたは私の人生で最悪の過去です」
「ひどい…」
「ひどいのはあなたです。人を中古品呼ばわりして、友人の前で笑いものにして。あなたこそ、人間として中古品以下です」
そしてブロックした。
今、私は夫と穏やかに暮らしている。



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