「そもそも俺がスマホ見てるのわかってたんだから、子供を見とけよ。お前の責任だぞ」
私は言葉を失った。
あなたがスマホに夢中で子供から目を離したから落ちたんでしょ?
でも今はそんなことより息子が大事。救急車で病院へ向かった。
診断の結果、息子は腕を骨折していた。入院が必要だという。
病院で医師の説明を聞いていると、遅れて夫がやってきた。
医師が状況を説明すると、夫が言った。
「お前のせいで子供が可哀想に…入院するならお前が看病しろよ」
その瞬間、私の中で何かがプツンと切れた。
「わかりました。じゃあ今から義母さんと義父さんに連絡しますね」
「は?なんで?」
「今日の経緯を全部説明します。あなたがスマホに夢中で子供から目を離して、階段から落ちて骨折したこと。救急車を『大袈裟』って言ったこと。全部話します」
夫の顔が青ざめた。
「ちょ、ちょっと待て。そんな大げさに」
「大袈裟?子供が骨折してるんですけど」
私はその場で義母に電話をかけた。スピーカーにして。
「お義母さん、今病院にいます。孫が階段から落ちて腕を骨折しました」
『えっ!?大丈夫なの!?』
「はい、命に別状はありません。でも入院が必要です」
『どうして落ちたの!?』
「夫がスマホに夢中で目を離した間に落ちました。でも夫は『私の責任だ』と言ってます」
夫が「おい、やめろ」と小声で言うが、私は無視した。
『息子!あんた何やってるの!?』
義母の怒鳴り声が響く。
「さらに夫は『階段から落ちたくらいで大袈裟』『お前のせいで子供が可哀想』とも言いました」
『なんですって!?』
電話の向こうで義父の声も聞こえてきた。
『代われ!息子に代われ!』
夫は渋々電話を受け取り、義父から延々と叱責される。
電話を切った後、私は冷静に夫に告げた。
「離婚します」
「は?何言ってるんだ」
「あなたの監督不行き届きで子供が怪我をしました。それなのに責任転嫁。こんな人に子供を任せられません」
「ちょっと待て、大げさだろ」
「また大袈裟って言うんですね。子供が骨折してるのに」
その夜、義両親が病院に駆けつけてきた。
義母は孫の顔を見て涙を流し、私に言った。
「本当にごめんなさい。あんな息子に育ててしまって」
「お義母さんは悪くないです。でも、もう限界なんです」
義父も厳しい顔で頷いた。
「離婚するなら、俺たちは嫁の味方だ。孫の親権も当然お前が取るべきだ」
私は少し救われた気がした。
翌日、私は弁護士に相談した。
「今回の件は『監督義務違反』に該当します。親権争いでも有利になります」
弁護士は医師の診断書と、夫の発言を記録したメモを証拠として準備してくれた。
離婚調停が始まった。
夫は「俺だって反省してる。やり直したい」と言ったが、調停委員が厳しい顔で言った。
「お子さんが階段から落ちて骨折している状況で『大袈裟』と発言したんですね?」
「それは…」
「さらに自分の過失を配偶者の責任にしようとした。これは親として問題があると言わざるを得ません」
結局、親権は私が取得。夫は月1回の面会のみ、しかも義両親の立ち会いが条件となった。
離婚が成立した日、義母が私に言った。
「孫に何かあったらいつでも連絡して。あんな息子の代わりに、私たちができることがあれば」
私は感謝の気持ちでいっぱいになった。
今、息子は元気に保育園に通っている。
あの時、義両親に全てを話して本当に良かった。
一人で抱え込まず、周りを巻き込むことが大事だった。
夫との離婚は正解だった。
子供の安全より自分のスマホを優先する人間に、子育ては任せられない。
因果応報。
子供を大切にしない親は、子供と過ごす権利も失うのだ。



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