職場では妊婦さんに「無理しないでくださいね」と優しく接している私。家では「大げさ」と言われる。
そのギャップが辛かった。
妊娠5ヶ月を過ぎると、つわりが落ち着いてきた。
夫も少し優しくなった気がした。
「お腹大きくなってきたな」
休日には一緒にベビー用品店に行ったり、エコー写真を見て「似てるかな」と笑ったり。
やっぱり楽しみにしてるんだな、と思えた。
でも、それは一時的なものだった。
妊娠7ヶ月のある夜、私が出産の話を切り出した。
「ねえ、出産の痛みについて少し勉強しておいた方がいいと思うんだけど」
夫はビールを飲みながら「ああ」と生返事。
「陣痛ってどんな感じか知ってる?」
「なんか痛いんでしょ」
「痛いっていうレベルじゃないよ。骨が砕けるような、内臓が裂けるような痛みなんだって」
すると夫は鼻で笑った。
「女って本当大げさだよな。陣痛なんて大したことないだろ」
「え?」
「だって昔の人なんて畑で産んでたじゃん。そのまま仕事してたって話だし」
私は唖然とした。
「あなた、何言ってるの?出産は命がけなんだよ」
「いやいや、女は痛みに弱いから大げさに言うんだよ。痛がりなんだって」
その言葉に、私の心が冷えていくのを感じた。
数日後、友人夫婦の家に遊びに行った。
友人は半年前に出産したばかり。
「本当に痛くて死ぬかと思った。20時間の陣痛は地獄だった」
友人が真剣な顔で言うと、夫が笑いながら言った。
「大げさに言うなよ。そんな大変だったら人類滅びてるって」
友人は黙って目を伏せた。私は恥ずかしくて顔が真っ赤になった。
帰りの車の中で私が言った。
「さっきの発言、本当に失礼だったよ」
「え?ジョークじゃん。マジになりすぎ」
何を言っても通じない。
そして決定的だったのは、妊婦健診に一緒に行った時。
担当の医師が優しく聞いた。
「そろそろ出産が近づいてきましたね。ご主人も出産の心構えについて勉強されてますか?」
夫は椅子に浅く座りながら答えた。
「いや、別に。陣痛なんて大したことないでしょ。女性は痛がりだから大げさに言うんですよね」
診察室が静まり返った。
医師は一瞬固まり、私に同情の眼差しを向けた。
「ご主人…出産の痛みは命に関わる重大なものです。女性が大げさに言うなんてことは絶対にありません」
夫は「はあ」と適当に返事をした。
医師は私だけに小声で言った。
「次の土曜日、ご主人を連れてきてください。特別なプログラムがあります」
その夜、私は一人で泣いた。
出産という人生最大の試練を前に、パートナーから理解が得られない。
「出産中に『大げさ』って言われたらどうしよう」
枕を抱きしめながら考えた。
翌日、職場の先輩に相談した。
「うちの夫も最初はそうだったよ。でもね、あることをしたら変わった」
先輩は意味深に笑った。
「土曜日、病院に連れて行ってみたら?」
その日の夜、夫の義姉に電話した。
「お義姉さん、実は…」
事情を話すと、義姉は即座に言った。
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