「これ…どこで…」
「友達が撮ったの。浮気してたんだね」
拓也が、舌打ちをした。
「ちっ…余計なことしやがって」
「余計なこと?私、騙されてたんだけど」
「騙してないだろ。ちょっと遊んでただけ」
拓也が、開き直った。
「遊んでた?浮気でしょ」
「浮気じゃない。息抜きだ」
私は、信じられなかった。
「お前が束縛するから、息抜きが必要だったんだよ」
「束縛?私が?」
「そうだろ。いつも『どこにいるの?』『誰といるの?』ってうるさいし」
私は、呆れた。
「それ、あなたが私に言ってたことでしょ?」
「は?」
「『男友達と縁を切れ』って言ったのも、あなたでしょ?」
「束縛してたのは、あなたの方よ」
拓也が、黙り込んだ。
「それに、私があなたを束縛してたとして、だから浮気していいわけ?」
「その理屈、おかしいでしょ」
拓也が、イライラした様子で言った。
「うるせえな。じゃあどうしろって言うんだよ」
「別れましょう」
「は?」
「婚約破棄。もうあなたとは結婚できない」
拓也が、立ち上がった。
「ちょっと待てよ。もう式場も予約してるし、金もかかってるんだぞ」
「キャンセル料は払うわ」
「そういう問題じゃねえだろ!」
拓也が、怒鳴った。
でも、私はもう怖くなかった。
「あなたと一緒にいても、幸せになれない」
「それに、私に男友達を切らせたのに、自分は浮気してた」
「そんな人と、結婚できるわけないでしょ」
拓也が、私の腕を掴んだ。
「お前、俺を捨てるのか?」
「捨ててるのは、あなたの方でしょ」
私は、腕を振りほどいた。
「さよなら」
拓也の家を出た。
数日後、私は健太に会った。
「ありがとう。教えてくれて」
「いや…辛い思いさせちゃってごめん」
「ううん、おかげで最悪の結婚を避けられた」
健太が、微笑んだ。
「よかった。君には幸せになってほしいから」
「ありがとう。でも、私、男友達を切っちゃったこと、後悔してる」
「大丈夫。また友達に戻ろうよ」
「本当に?」
「もちろん。いつでも力になるから」
私は、涙が出そうになった。
本当の友達は、こうやって助けてくれるんだ。
拓也は、私を束縛して、孤立させようとしていた。
でも、健太は、それでも私を助けてくれた。
「これから、ちゃんと友達でいてね」
「うん、約束する」
私は、新しい人生を歩み始めた。
束縛ではなく、信頼を大切にする人と。
そして、本当の友達を、大切にしながら。
拓也からは、その後も何度も連絡があったけど、全て無視した。
私の人生に、もう彼の居場所はない。
窓の外を見ると、青空が広がっていた。
自由って、こんなに気持ちいいんだ。



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