親戚の叔母が、驚いた。
「え?何で?」
「ガソリン代ですって。信じられないでしょ」
義母が、被害者ぶった。
別の親戚が、聞いた。
「ガソリン代?どういうこと?」
私は、静かに答えた。
「お義母さんが、私の車を勝手に使って、ガソリン代を払わなかったんです」
「それで、これまでの分を計算したら5万円でした」
親戚たちが、ざわついた。
叔母が、義母を見た。
「えー、洋子さん、それはダメでしょ」
「でも燃費いいんだから、そんなにお金かからないでしょ」
義母が、言い訳した。
別の親戚が、首を横に振った。
「燃費関係ないでしょ。人の車勝手に使って」
「しかもガソリン代払わないとか、恥ずかしいわよ」
叔母も続けた。
「美咲さん、よく我慢したわね」
「5万円って、相当使ったんでしょ?」
私は、頷いた。
「月に2〜3回、半年以上続いてました」
親戚たちが、義母を見た。
その目は、非難の色だった。
義母の顔が、真っ赤になった。
「あ、あなたたち、私を責めるの?」
「だって、洋子さんが悪いわよ」
叔母が、はっきり言った。
「家族だからって、何でも許されるわけじゃないのよ」
「美咲さんだって、働いてるんでしょ?」
「そうです」
私が答えた。
「じゃあ、5万円って大金じゃない」
別の親戚も言った。
「洋子さん、ちゃんと謝った方がいいわよ」
義母が、プライドを傷つけられた顔をした。
「もういい!」
義母が、立ち上がった。
「あなたたち、みんな嫁の味方なのね!」
「味方とかじゃなくて、常識の問題よ」
叔母が、冷静に言った。
義母は、何も言い返せず、その場を去っていった。
法事が終わった後、親戚たちが私に声をかけてくれた。
「美咲さん、大変だったわね」
「よく我慢したわ」
「洋子さん、ちょっと図々しいところあるのよね」
みんな、私に同情してくれた。
叔母が、言った。
「これからも、何かあったら言ってね」
「ありがとうございます」
私は、やっと報われた気がした。
家に帰ると、大輔から電話があった。
「母さんが怒ってる」
「そうですか」
「お前、親戚の前で母さんを恥かかせたって」
「恥をかいたのは、お義母さんが悪いことをしたからです」
私は、冷静に答えた。
「でも…」
「でもじゃないです。私の車を勝手に使って、ガソリン代も払わない」
「それを親戚に言っただけです」
大輔が、黙った。
「親戚の人たちも、お義母さんが悪いって言ってましたよ」
「…そうなのか」
「ええ。あなたもお義母さんの味方ばかりせずに、少しは私の立場も考えてください」
私は、電話を切った。
それから、義母は私の車を借りなくなった。
会っても、気まずそうに目を逸らす。
ある日、義母から小さな声で言われた。
「あの時は…悪かったわ」
「はい」
私は、短く答えた。
「もう、車は借りないから」
「ありがとうございます」
義母は、それ以上何も言わなかった。
でも、私はそれでよかった。
大切なのは、自分の権利を守ること。
家族だからといって、何でも我慢する必要はない。
私は、やっと自分を取り戻せた気がした。
窓の外を見ると、青空が広がっていた。
スッキリとした、清々しい気分だった。
【完】


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