「お義母さんが結衣を連れて行ったまま、戻ってこないの」
「電話も出ないし、どうしよう」
「母さんの家に行ってみたら?」
「わかった」
私は、義母の家に向かった。
でも、インターホンを押しても出ない。
窓から覗くと、明かりがついていた。
絶対に中にいる。
私は、ドアを叩いた。
「お義母さん!結衣を返してください!」
でも、応答はなかった。
私は、警察に電話した。
「娘が連れ去られました」
「落ち着いてください。詳しく教えてください」
私は、状況を説明した。
「義母が午後1時に娘を連れ出して、夕方5時になっても戻ってきません」
「電話も無視されています」
「わかりました。すぐに向かいます」
30分後、警察が義母の家に到着した。
「こちら警察です。開けてください」
警察官が、ドアを叩いた。
しばらくして、義母がドアを開けた。
「何ですか」
「お孫さんをお預かりしてますか?」
「ええ、預かってますけど」
義母が、当然のように答えた。
「お母様の許可は取られましたか?」
「許可?孫を預かって何が悪いの!」
義母が、怒った。
警察官が、冷静に言った。
「親御さんの許可なく、お子さんを連れ去ることは誘拐に当たります」
「誘拐?何言ってるの!私は孫のおばあちゃんよ!」
「それでも、親御さんの許可がなければ違法です」
警察官が、中に入った。
結衣が、リビングでテレビを見ていた。
「ママ!」
結衣が、私に駆け寄ってきた。
私は、結衣を抱きしめた。
「よかった…」
涙が溢れた。
義母が、警察官に詰め寄った。
「何なのよ!私は孫を可愛がってただけよ!」
「お母様、親御さんが心配されていました」
「電話にも出ず、6時間も返さなかった」
「これは、誘拐未遂として扱われます」
警察官が、真剣な顔で言った。
義母が、顔を真っ青にした。
「誘拐?そんな…」
「今回は親告しないということで、注意で済ませますが」
「今後、このようなことがあれば、法的措置を取ります」
義母は、何も言えなくなった。
翌週、親戚の集まりがあった。
義母の妹である叔母が、私に聞いてきた。
「優香さん、典子姉さんが警察沙汰起こしたって本当?」
「はい…」
私は、事情を説明した。
叔母が、呆れた顔をした。
「信じられないわ。孫を誘拐未遂だなんて」
別の親戚も言った。
「典子さん、孫が可愛いのはわかるけど、やりすぎよ」
「そうよ。親の許可なく連れ去るなんて」
親戚たちが、義母を非難し始めた。
義母が、顔を真っ赤にした。
「あなたたち、私を責めるの?」
「だって、姉さんが悪いでしょ」
叔母が、はっきり言った。
「優香さんがどれだけ心配したか」
「警察まで呼ぶなんて、よっぽどよ」
義母が、言葉に詰まった。
「もう、結衣ちゃんには会わせてもらえないかもね」
別の親戚が、言った。
義母が、私を見た。
「優香さん…まさか…」
私は、静かに答えた。
「しばらく、結衣には会わせられません」
「そんな…」
「お義母さんのせいです」
私は、はっきりと言った。
「私の許可なく連れ去って、電話も無視して」
「警察まで呼ばせて」
「もう、信用できません」
義母が、膝から崩れ落ちそうになった。
「お願い…謝るから…」
「遅いです」
私は、結衣を抱いて立ち上がった。
「これから、お義母さんが結衣に会いたいなら」
「事前に連絡して、私が同席します」
「二度と、勝手に連れ出さないでください」
義母は、何も言えなかった。


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