仕事から帰ると、夫が言った。
「母さんが保育園に連絡したらしいよ。『緊急連絡先を私にしてください』って」
私は血の気が引いた。
翌日、保育園に確認すると本当だった。私は震える声で「義母には一切連絡しないでください」と伝えた。
義母に電話すると、悪びれもせず「私が連絡受けた方が早いでしょ?あなたより私の方がこの子のこと愛してるわ」と開き直る。
「保育園への連絡を勝手に変えようとするのは、親権の侵害です」と言うと、義母は激怒。
「あなた、私から孫を取り上げるつもり?酷い嫁ね!」
夫に話しても「母さんを傷つけたくないし…」と煮え切らない。
「私の気持ちは?息子を取られそうで怖いんだよ」と言っても、夫は黙るだけ。
その週末、義実家に行った。夫が「母さんと直接話そう」と言ったからだ。
リビングには義父がいた。普段は無口で義母の言いなりのイメージだった。
私は義父に全てを説明した。保育園への無断連絡、「私の子」発言、SNSへの勝手な投稿。
義父の顔が険しくなった。
「お前、そんなことしてたのか?」
義母は開き直る。「何が悪いの?孫を愛してるだけよ」
その瞬間、義父が立ち上がった。
「お前、何やってるんだ!」
義母がビクッとした。
「孫は息子夫婦の子供だぞ!お前の子供じゃない!」
義父の怒声が響いた。普段温厚な義父が、こんなに怒っているのを初めて見た。
「お前は祖母として孫を可愛がればいい。でも親面するな。保育園に勝手に連絡?それは親権の侵害だ。犯罪に近いぞ」
義母の顔が青ざめた。
「嫁さんがどれだけ傷ついてるかわかってるのか?自分の子供を取られそうで怖いって思ってるんだぞ」
義母が私を見た。私は頷いた。
「怖いです。毎日不安で」
義父が義母に詰め寄った。
「お前のせいで嫁さんがこんなに苦しんでる。恥ずかしくないのか?」
義母が「私は孫のためを思って…」と言い訳すると、義父が机を叩いた。
「言い訳するな!孫のため?自分のためだろう。孫を独占して、母親面して、自分が満足したいだけだ」
義母の目に涙が浮かんだ。
「お前がやってることは、孫を道具にして、自分の欲求を満たしてるだけだ」
義父の言葉は厳しかったけど、全て正しかった。
義母は泣きながら私の前に来て、頭を下げた。
「ごめんなさい…私が間違ってました。あなたが母親よね。孫が可愛すぎて、おかしくなってたわ」
義父が言った。
「謝るだけじゃダメだ。今後二度と勝手なことするな。孫に会いたいなら、嫁さんの許可を取れ。わかったな?」
義母は泣きながら頷いた。
義父が私に言った。
「嫁さん、本当に申し訳なかった。今後、母さんがおかしなことしたら、すぐ俺に言ってくれ。俺が止める」
私は初めて、義父に救われた気がした。
その日から、義母は変わった。息子を「私の子」と呼ばなくなり、「可愛い孫」と言うようになった。SNSの投稿は全て削除。家に来る時は必ず事前連絡し、「抱っこしてもいい?」と私に許可を求めるようになった。
義父の一喝がなければ、私たち家族はバラバラになっていたかもしれない。
今、息子は2歳。毎日「ママ、大好き」と言ってくれる。
この子の母親は私だ。
それは誰にも変えられない。


コメント