義母は夫に電話をかけてきた。
「あの犬、いつ処分するの?」
夫が「母さん、嫁が大切にしてるから」と言うと、義母は怒鳴った。
「あなたは夫でしょ!妻をコントロールできないの!?」
「母さん、犬は嫁にとって大事な存在なんだよ」
「犬より私の意見を聞きなさい!すぐに処分させて!」
夫は困り果てて、私に「母さんが…」と相談してきた。
私は「絶対に嫌です」と断った。
お盆に義実家に行くと、親戚の前で義母が言い出した。
「嫁がね、犬を飼ってるのよ。不衛生で困ってるの」
親戚が「まあ」と反応する。
義母は続けた。
「私が処分しなさいって言っても聞かないのよ。親の言うこと聞かないなんて、どういう育ちなのかしら」
親戚が「でも、ペット飼ってる人多いわよ」と言うと、義母は「あなたたちは甘いのよ」と一蹴した。
ある日、私が仕事で留守にしていると、義母が合鍵を使って家に入ってきた。
夫が「念のため」と義母に渡していた合鍵だった。
義母はポチを捕まえ、車に乗せた。
そして、保健所に連れて行った。
「この犬、処分してください」
保健所の職員が「飼い主の同意書は?」と聞くと、義母は「私が飼い主の義母です。嫁が同意してます」と嘘をついた。
職員は渋々、ポチを引き取った。
私が家に帰ると、ポチがいなかった。
「ポチ!ポチ!」
家中を探したが、どこにもいない。
玄関の鍵は開いていた。
不審に思って防犯カメラを確認すると、義母がポチを連れて出て行く姿が映っていた。
私は慌てて義母に電話した。
「お義母さん、ポチはどこですか!?」
義母は冷たく言った。
「処分したわ」
「え…?」
「保健所に連れて行ったのよ。もう処分されてるわ」
私は頭が真っ白になった。
「なんで…なんでそんなことを…」
「あなたが処分しないから、私がやったのよ。当然でしょ」
電話を切った私は、泣きながら保健所に電話した。
「今日、柴犬が持ち込まれませんでしたか!?」
保健所の職員が確認してくれた。
「はい、午後に持ち込まれた柴犬がいます。ただ、明日の朝には…」
「待ってください!それ、私の犬です!勝手に連れて行かれたんです!」
「え?でも、持ち込んだ方は飼い主の義母だと…」
「嘘です!私が飼い主です!今すぐ行きます!」
私は仕事を早退して、保健所に駆け込んだ。
ポチは檻の中で、怯えた顔をしていた。
「ポチ!」
職員が「飼い主だと証明できますか?」と聞くので、私はスマホでポチとの写真を見せた。
「確かに…でも、持ち込んだ方が…」
「勝手に連れて行かれたんです!お願いします!」
職員は上司に確認し、最終的にポチを返してくれた。
「ギリギリでした。明日の朝だったら…」
私はポチを抱きしめて、泣いた。
翌日、私は弁護士事務所を訪れた。
「義母が私の犬を勝手に保健所に連れて行きました」
弁護士は眉をひそめた。
「それは器物損壊と窃盗に該当します。ペットは法律上『物』として扱われますが、無断で持ち出して処分しようとした行為は明確に違法です」
「訴えられますか?」
「もちろんです。慰謝料も請求できます」
私は決意した。
「お願いします」
弁護士から義母に内容証明が届いた。
義母から怒りの電話がかかってきた。
「何なのよ、これ!訴えるですって!?」
「お義母さんが私の犬を勝手に保健所に連れて行ったからです」
「たかが犬じゃない!大げさよ!」
「ポチは家族です」
「家族?犬が!?あなた頭おかしいわよ!」
義母は一方的に電話を切った。
数ヶ月後、裁判が始まった。
義母は「犬は不衛生だから、嫁のためを思って処分しようとした」と主張した。
でも、裁判官は厳しい顔で言った。
「飼い主の許可なく、ペットを処分しようとする行為は、器物損壊未遂と窃盗に該当します」
「さらに、保健所に嘘をついて持ち込んだことも問題です」
証拠として、防犯カメラの映像と保健所の記録を提出した。
裁判官が判決を言い渡した。
「被告は原告に対し、慰謝料50万円を支払うこと」
義母は「たかが犬で50万円!?」と叫んだ。
私は冷静に言った。
「ポチは家族です」
裁判官も「ペットは飼い主にとって家族同然の存在です。それを理解してください」と義母に告げた。
裁判後、夫が義母に言った。
「母さん、やりすぎだよ」
「息子まで!」
「嫁の大切なものを勝手に処分しようとするなんて、ありえないよ」
夫は初めて、私の味方をしてくれた。
「これからは母さんとは距離を置く」
義母は「そんな…」と泣き崩れたが、夫は譲らなかった。
私たちは義母と絶縁した。
義母は慰謝料50万円を支払い、もう私たちの家には来ない。
合鍵も回収した。
ポチは今、元気に暮らしている。
あの日、保健所から救出できて本当によかった。
義母は今でも「たかが犬」と思っているのかもしれない。
でも、私にとって、ポチは家族だ。
それは絶対に譲れない。
因果応報。
他人の大切なものを奪おうとした人間には、必ず報いが来る。
義母は息子との関係も失い、孤独になった。
自業自得だ。
私はポチと、夫と、幸せに暮らしている。



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