その月から、私は自分の給料だけで生活することにした。
家賃、光熱費、食費。全部私の給料から払う。
夫には一切頼らない。
当然、夫の食事も作らない。洗濯もしない。
「おい、飯は?」
「ありません。お母さんに作ってもらえば?」
「は?何言ってんの?」
「あなたの給料は全部お母さんに渡してるんですよね?だったらお母さんに養ってもらってください。私は私の給料で私だけ生活します」
「ちょっと待てよ!」
「待ちません。あなたが私たちの生活よりお母さんを優先するなら、私も私を優先します」
夫は困惑していたけど、私はもう知らない。
それから3ヶ月。
私は自分のためだけに料理を作り、自分の服だけ洗濯し、夫のことは完全に無視した。
夫はコンビニ飯とコインランドリーで生活する羽目に。
「なあ、いい加減にしてくれよ。飯くらい作ってくれ」
「嫌です。あなたはお母さんに全部渡してるんだから、お母さんに頼んでください」
「母さんは遠いんだよ!」
「じゃあ一緒に住めばいいじゃないですか」
「は?」
「お母さんと同居すれば解決ですよね。私は反対しませんよ」
「お前、本気で言ってんの?」
「本気です。もう私たちの生活は破綻してます。あなたがお母さんを選んだんだから、お母さんと暮らせばいいんです」
夫は何も言えなくなった。
そんなある日、義母が家に来た。
「ちょっと、息子からお金もらえなくなったんだけど。どういうこと?」
「え?もらえなくなったんですか?」
夫が「母さん、今月は無理だって言っただろ」と困った顔。
「無理って何よ!私、あのお金で生活してるのに!」
私は言った。
「義母さん、年金もあるし持ち家もあるんですよね?それでも生活できないんですか?」
「それは…まあ、色々とお金がかかるのよ」
「具体的には?」
義母が言葉に詰まった。
怪しい。
私は決心して、義母を尾行することにした。
数日後、仕事を休んで義母の後をつけた。
義母はデパートに行き、高級ブランドショップへ。
そしてバッグを買っていた。30万円。
は?
その後もブティックで服を買い、高級レストランでランチ。
全然生活に困ってない。
私は写真を全部撮った。
その夜、夫にその写真を見せた。
「これ、見て」
「何?」
「あなたのお母さん。あなたが渡したお金で、これ買ってたよ」
写真には、義母が高級ブランドのバッグを持って笑顔で歩く姿が。
夫の顔が青ざめた。
「嘘だろ…」
「嘘じゃない。レストランでも高級ランチ食べてた。あなたが『生活が苦しい』って言ってた人がね」
「そんな…母さん、困ってるって…」
「嘘だったんだよ。あなたからお金をもらって、贅沢してたの」
夫はショックを受けていた。
「俺…騙されてたのか…」
「そうだよ。しかもあなたは私たちの生活を犠牲にしてまで、お母さんに貢いでた」
夫は頭を抱えた。
「ごめん…俺が馬鹿だった…」
「謝られても、もう遅い」
「え?」
「離婚します」
「ちょっと待てよ!これから気をつけるから!」
「気をつけるとかの問題じゃない。あなたは私よりお母さんを優先した。私たちの生活が破綻しても、お母さんにお金を渡し続けた。そんな人とはもう暮らせない」
「でも俺、もう母さんにお金渡さないから!」
「今更」
私は翌日、弁護士に相談した。
弁護士は「配偶者の同意なく家計を使い込むのは、婚姻費用分担義務違反です」と言ってくれた。
離婚調停を申し立てた。
夫は「やり直したい」と言ってきたけど、私の心は決まっていた。
調停の場で、夫の義母への送金記録を全て提出。3年間で720万円。
さらに義母の贅沢品購入の証拠写真も提出。
調停委員も「これは酷いですね」と呆れた顔。
夫は「母さんに騙されてた」と言い訳したけど、「妻との生活を犠牲にした責任はある」と調停委員に諭された。
離婚は成立した。
財産分与では、義母に渡した720万円の半分、360万円を夫が返済する形に。
夫は義母に「返してくれ」と頼んだらしいけど、義母は「もう使っちゃったわ」と返す気なし。
夫は自分の貯金を崩して私に支払った。
それから2年。
共通の友人から、夫が後悔してるって聞いた。
義母との関係も悪化して、「あの時お前が嘘ついたせいで」って責め合ってるらしい。
義母は他の親戚にも「息子が冷たくなった」って愚痴ってるけど、誰も同情しないって。
私は今、新しい彼氏と幸せに暮らしている。
彼は「君を一番に考える」って言ってくれる人。
元夫とは大違い。
元夫へ。
妻よりも母親を優先した結果がこれだよ。
因果応報。
義母と二人で仲良く暮らしてください。



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